夜の研究室は冷える

ワトソン−クリックが2重らせん構造を発見してから、生物学はビックサイエンスとなり、グラントの有無が研究の質を決める時代となった。知性が科学から疎外され始めてきたのである。1人の天才より1000人の手作業が勝る時代が来たのである。同様に、私も数値計算をひたすら繰り返すことによって興味深い結果を発見しようとしている。研究の質をさらに上げるためには、さらなる高速PCがあればよい。もっといえば、この一連の研究に関する最高峰の大学で、ボスの指示通り、研究室全体でシステマチックにコードを組み、論文を書けばよいのである。唯一自分を人間にたらしめているのは、数値計算の結果から生物学的な解釈をくみ出そうとする、ただその行為だけな気がしてならない。